受精をモデルとした細胞間認識機構
異なる細胞がどのようなしくみでお互いを識別することができるのか?
精子と卵子では、識別は少なくとも2カ所で起こります。
1.精子と透明帯(zona pellucida)との間
2.精子と卵細胞膜との間
当研究室では1つ目の精子と透明帯との間の識別のしくみを主に研究しています。
当研究室の研究対象はブタ・ウシです。元々は天然の透明帯を比較的大量に得ることができ、生化学研究に適していたからです。しかし現在は組換えタンパク質を用いた解析を進めています。
(参考)マウスでの受精プロセス
- 精子が卵子を覆う卵丘細胞(cumulus cells)を通り抜けて透明帯に到達する
- 先体反応(acrosome reaction)を起こす前の精子(intact sperm)が透明帯に結合する(primary binding)
- 先体反応を起こす
- 先体反応を起こした精子(acrosome reacted sperm)が透明帯と結合する(secondary binding)
- 透明帯を貫通し囲卵腔(perivitelline space)に到達する
- 卵細胞膜(ooplasma membrane)に結合する
- 卵細胞膜と融合(fusion)する
- 透明帯反応(zona reaction)による多精拒否機構
詳しくは詳細をご覧ください。
進行中の研究テーマ
- bZP4の精子結合部位の同定 Kamila Dilimulati
- ウシ精子のカルシウムイオノフォア処理によるZP結合変化の有無 Kamila Dilimulati / Ganbat Undram
- ブタ精子の組換えウシZP上の結合部位の同定 Ganbat Undram
- ZP構築機構 木村雄大
- 精子側のZP結合因子検索 木村雄大 / Pan Quan Xing / Ganbat Undram
- 精子結合部位の高次構造解析 向井祐樹
- 精子結合複合体の高次構造解析 向井祐樹
PDI-P5の活性部位、反応機構解析
PDI(protein disulfide isomerase)とはS-S結合を形成・切断・異性化することでタンパク質の品質管理や機能調節に関与する酵素のグループです。哺乳類において現在20種類以上が同定されており、PDI-P5はそのうちの一つでa-a’-bの三つのドメインからなり、aとa’が酵素活性を担います。
PDI-P5はゼブラフィッシュの心臓や肝臓等の臓器の左右非対称形成、癌細胞の浸潤・免疫回避から植物におけるタンパク質の貯蔵まで幅広く関与しているとの報告があります。またブタ精子の成熟過程においては発現量が減少することが分かっています。
しかし、基質結合部位をはじめとするP5の反応機構はほとんど明らかになっていません。
また、PDI-P5は小胞体内で別の分子シャペロンであるBiP(binding immunoglobulin protein)を含む数種の小胞体タンパクと複合体を形成することにより、BiPのclientであるIgG heavy chainやLDL受容体のジスルフィド結合形成に関与していると考えられています。
当研究室ではPDI-P5のドメイン欠損体やCys-Ala変異体を大腸菌発現系で作製し、その構造解析を行っております。
進行中の研究テーマ
PDI-P5はゼブラフィッシュの心臓や肝臓等の臓器の左右非対称形成、癌細胞の浸潤・免疫回避から植物におけるタンパク質の貯蔵まで幅広く関与しているとの報告があります。またブタ精子の成熟過程においては発現量が減少することが分かっています。
しかし、基質結合部位をはじめとするP5の反応機構はほとんど明らかになっていません。
また、PDI-P5は小胞体内で別の分子シャペロンであるBiP(binding immunoglobulin protein)を含む数種の小胞体タンパクと複合体を形成することにより、BiPのclientであるIgG heavy chainやLDL受容体のジスルフィド結合形成に関与していると考えられています。
当研究室ではPDI-P5のドメイン欠損体やCys-Ala変異体を大腸菌発現系で作製し、その構造解析を行っております。
進行中の研究テーマ
- PDI-P5の基質結合部位の同定および構造解析 佐藤祐透
- PDI-P5のCa²⁺結合部位の同定、配位機構の解析 副島龍之介
- PDI-P5のSAXSデータ解析 西澤庸